駄文+WEB漫画 紅而遊戯

『七獅武遊録』第7話

七獅
行く行く
ひとり行く。
そんな七獅が出くわしたのは・・・・

---- 掲載日 ------------
・皇紀2673/01/22

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七獅と一女と秘伝書と

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諸国漫遊の子ども剣士、御嶽七獅(みたけななし)が
奈落ケ原を歩いていると・・・・

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七獅は先程草叢でむしった野草を窮女の鼻先に進呈した。


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と、この娘は何やら七獅を知っている様子。
詳しくは「第1話」を御参照あれ
・・・・ではあまりにも不親切なので
かいつまんで説明すると
この娘、剣谷一女(つるぎやいちめ)は
七獅の助力によって
悪人に奪われた秘伝書を取り返したのである。




知った顔の気安さで話しかける一女に
七獅は不審を顔面に漲らせて尋ねた。

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「そ、それは」
紅而遊戯の技量が拙いからである。





さすが七獅は主人公だけあって
ひもじい一女の腹具合を気遣った。




七獅は深く黙考する。
暫くして
脳裡に稲妻の如く想念が閃いた。


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自称・美少女が止めるのも聞かず
七獅は猿のごとくスルスルと登ってゆく。






駆ける七獅と追う一女。
草叢に分け入り
木立を縫って
一刻ばかり行くと
そこには
苔むす石段があった。
そこを駆け上がり
曝れ板の破れ門をくぐると
無残に屋根も崩れた荒れ寺が
伸びに伸びた芒の中に
ひとり佇んでいた。


一女は
第1話で七獅に説明した経緯を再び話した。
すなわち
町道場を営む父から奪われた秘伝書を
七獅の尽力で取り戻した後
道場に帰るべく旅をしていることを。



尻に火がついた駝鳥の如く駆けていった七獅を
呆然と見送る一女。
しかし
その後ろの衝立には・・・・・。


果たして荒れ寺には先客がいた。
流れ者の浪人らしきこの男は
自らを「怪しい者ではない」と言うが・・・・・



剣谷家に代々伝わる秘伝書を
「見せろ」と頼む
鮫島狂介の非常識。
その
あまりに軽く
あまりにも清清しい物言いに
一女は絶句した。



鬱陶しい上に
馴れ馴れしい。




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気位を投げ捨てたか
はたまた
もともと気位など持ち合わせていないのか
鮫島は
電光の速さで
一女の足下に額づいた。




教訓・・・・・
どれだけ頼まれても断るべき時は断るべし。




一方
食料調達に出かけた七獅は・・・・・。


散々追われた野ウサギは
切り立った壁を背に
絶体絶命の危難にまさに瀕していた。
七獅の手が伸びようとした
その時・・・・・。




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草叢を抜け
石段を跳んで
荒れ寺に戻った七獅。
しかし
時すでに遅く・・・・・。




一方
秘伝書を騙し取り
一女を縛り上げた鮫島は・・・・・。






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さすが鮫島は
秘伝書を騙取して平気な人物だけあって
常人と異なる思考回路と感情を所有している。




鮫島は
道義的にも
文法的にも
無茶苦茶を言い放ち
七獅に摑みかかった。





一瞬のうちに
死角に回り込まれた鮫島。
反撃する暇もなく・・・・・


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かくして
少年剣士・御嶽七獅の活躍によって
悪の浪人者・鮫島狂介は成敗された。


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そして
荒れ寺へと戻る
七獅と一女であった。

おしまい

お断り

『七獅武遊録』は時代考証をはじめ
何から何まで全て虚構です。
だから
「子どもに一人旅など不可能だ」等の
野暮なツッコミはご遠慮ください。

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